第32章 春、籠いっぱいの甘味ーR18ー(三成)
野苺の季節。
野苺摘みに行きませんか?
三成が華月を誘った。
長閑な春の日の朝だった。
「政宗様がいつも野いちごを摘んでいらっしゃるんですが、今年は私と一緒に行きませんか?」
春の朝日に負けないくらい、
清々と美しい笑顔で三成が問いかける。
もちろん、断るつもりはないけれど、
(こ、この……誘いを断れる女の子がいたら、会ってみたいよ…)
と華月は思った。
「三成くんはどの辺に野苺が成ってるか知ってるの?」
「はい、政宗様に聞いて参りました」
(それは知ってるって言わないような……)
一抹の不安を捨てきれないまま、
野苺狩りに来た。