第31章 春待ちて氷柱落つー後ー(秀吉)
蝋梅が咲いて梅も綻び始めた。
白く良い香りが辺りに漂う。
春はもうすぐだ。
「行って参ります」
私はお遣いに城へ上がった。
が、門で止められた。
「秀吉様の処から来ました。コレを届けに」
私はそんなに怪しいだろうか…
困っていると、
「どうなさいましたか?」
柔らかな声音が背後からした。
「これは三成様っ」
門兵が頭を下げる。
「こちらの方は?」
「はっ、秀吉様の処から花を届けに参ったと…しかし、本当かどうかも判りませんので」
「お名前は?」
「華月と申します」
私は慌てて頭を下げた。
すると、ニッコリと笑われた。
私は一瞬でときめいた。
心の臓がの音が早くなる。