第29章 目醒めなくなるまでの幸せは(光秀)
「光秀さん…」
「ん……」
心配そうで心細そうな声の主が朧げに俺の眼に映った。
(ああ……そうか……)
「眼が醒めましたか?
私の事わかります?
痛みはどうですか?
気分は悪くないですか?
お水飲みますか?
お腹空いてないですか?」
顔を近づけて矢継ぎ早に質問を繰り出す。
「フッ…そう…急かすな……」
喋れば腹部に痛みが走って、顔を歪ませてしまった。
「あっ!ごめんなさいっ」
「どれくらい経つ?……」
掠れる声で問う。
「連れて帰って来られて10日程?
発熱が続いてて………心配したんですよっ」
(10日……それ程悪くはなかった…か…)
苦笑が漏れた。
「…悪いが、水を少し……」
「はっ、はいっ」
軀を起こせない俺。
薬呑みの先を華月が俺の唇につける。
「口移しではないのか…残念だな…クク」
揶揄うと
「かっ、揶揄わないで早く飲んでくださいっ!////」
と照れ隠しにか、怒鳴られた。