第4章 卒業します!ー前ー(秀吉)
「………」
「秀吉さん?」
はあぁぁ〜 と大きな息を吐かれて、
私は身を竦めた。が…
ポンッ と安心するほど
大きくて温かい手を頭に置かれた。
「そんな事考えてたのか。
馬鹿だな、華月は」
優しく笑い飛ばされた。
「俺はてっきり、あんまり、お前を構うから、本当に嫌われたのかと思った。
口煩くして悪かったな。
以後、気をつける」
それだけ言うと、他には何も言わず、
難しい表情をして、私に背を向けて行ってしまった。
その日から、秀吉さんの大きくて温かい手は、私の頭を撫でてゆくことも、
手を引いて、私を止め諫める事もなくなってしまった。
兄妹のように近かった距離は、遠くなった。