第21章 貴様へ贈り物 (信長)
シャラッ…と鎖を握って、それを掲げて見せた。
「コレを、お前にやろう」
日暮れの天主。
射し入った弱い日の陽に、銀が光を反射して揺れる。
何にでも反応する、
この女の瞳の様にキラキラと。
(よく似合いそうだ)
「バテレンからの献上品だが、貴様にやる」
意地悪く言って笑いかけるも、そこは気にもされない。
「わっ、カメオのペンダントですね!
細かい彫刻が素敵〜っ💕」
太陽よりも、金銀よりも輝く笑顔。
未来では でざいなぁ なるモノになると言っていた華月は、装飾品にもおおよそ通じているのだろう。
満面の笑みで、嬉しそうにしている様子は、
俺の心をも柔らかに融然とさせる。
不思議と俺も微笑んでいた。
※融然…ゆうぜん/心をとかし、のびやかにさせる。