第18章 雨と紫陽花ー後ー(信長)
「紫陽花の色が変わったのは錆びた鉄のせいだったんでしょう。
華月にしては良い処に気づいたよね」
家康が、報告の〆に、チクッと褒めた。
「家康〜。
私にしてはって、褒められた気がしないよぉ」
華月が口を尖らせている。
「華月、贅沢言ってると、家康に今度は意地悪言われるぞ」
政宗が笑って華月を嗜める。
「何にせよ、華月も信長様もご無事で、
悪党も捕らえられ、一件落着ですね」
三成が柔らかに笑いながら、まとめた。
梅雨の雨が止んで束の間の晴れの日。
紫陽花の輝く安土城では、
皆、晴れ晴れと笑顔だった。
ー後、了ー