第17章 雨と紫陽花 R18 ー前ー (信長)
長雨の続く水無月
「梅雨だから仕方ないね」
天主の廻り縁から外を眺めて呟く。
空は曇天の曇り空。
一刻前までは欄干を雨が濡らしていた。
「もう、4日も雨だし……」
ため息を漏らした時、後方から声をかけられる。
「憂鬱か?」
高座で書簡に目を通していたはずの信長が、
脇息にもたれて、こちらを見ていた。
「憂鬱って事はないですけど…
…やっぱり そろそろ、
太陽が見たいと言うかー……外にー…」
「ーー…出て、遊びたいのか」
笑いを含んだ声で代わりに言葉を続けられた。
「‼︎ 遊び……」
可笑しそうに喉鳴らして笑う信長を恨めしそうに睨んで、
反論しようとするも
「間違いなかろ?」
と言って 更に笑われると、どうにも反論出来なくなって
黙るしかない。