第15章 愛を冷遇する者ー中ー
(謙信様の声…震えて…)
私はそれに引き摺られまいと声を上げた。
「ならっ!
それならっ、私を抱いて下さいっ。
ここで、今すぐっっ」
願った。
祈る思いで口にした。
愛する女と2人っきり
愛する女が全裸で
抱いて欲しいと立っている。
(この状況、本当に私の事を好きなら、抱くでしょ⁉︎)
「抱けない……?」
ここで抱いてもらえないなら、
私にはもう、なす術がない。
だから、私は禁句を口にした。
「…私が………ここで…自害したら…」
「ツッ…」
謙信様が息を飲むのが感じられたが、
構わず続けた。
「……姫に代わって、心に置いて、
愛してくれるの?…今の貴方の心のように、
私だけを考えて、求めてくれるんですか?
だったら……私は、死ぬしかないっ!」
生きていても求めてもらえないなら、
死んで、貴方の心に居座り、
生きるしかないーー………。
ー中、了ー