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≪イケメン戦国≫ 君と詠う愛の歌 SS

第15章 愛を冷遇する者ー中ー




絶望と失望に
沸々と湧いた底儚い怒りは、
押し潰されて……
俺は力無く膝をついた。


痛い程の静寂。
恐ろしい程の沈黙。
寥々(りょうりょう)とした空気が身を締め付ける。
永遠に続くのではないかと思う短い時間。


頭を下げた先の
シュルッ、
シュッ…サラ…シュッシュルッ…
と衣擦れの音が、静寂を破った。

ノロノロと顔を上げれば、
「ーー…⁉︎」
明かり取りの小窓から差し込む
僅かな明かりに、白い軀がボンヤリと
幻のように浮いていた。





謙信様が贈ってくれた美しい綾羅(りょうら)
繡帯(しゅうたい)、更紗の襦袢も一気に脱いだ。
私じゃない物は全て足元に落とした。





※寥々…寂しくて静か、空虚な様。
※綾羅…美しく贅沢な着物。
※繡帯…縫い取りをした豪華な帯。
※更紗…木綿や絹地に型模様をつけた薄衣。

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