第15章 愛を冷遇する者ー中ー
俺は朝から華月を探していた。
「華月を見なかったか」
佐助に聞いても、一緒にいた幸村に聞いても
「今日は会ってませんね」
「俺も、ずっと佐助と一緒にいたから、知りませんよ」
口を揃えて、知らないと言われた。
「チッ」
「あーっ!
チッ ってなんなんっですか⁉︎」
舌打ちした俺に幸村が噛み付く。
面倒だから斬ってやろうかと、柄を握るが、
「あっ、ちょっ、
き、斬らないで下さいよ!」
騒ぐ幸村を置いて、踵を返す。
無駄な時間を取られたくなかった。
背中から幸村の声が追いかけてくる。
「あっ…えっ?今日は無視かよー〜」
「幸村、今、謙信様は華月さんを探すのに頭がいっぱいだ。
斬られなくて良かったよ」
「おい、そうじゃねーだろ。
尋ねておいて舌打ちだぞっ」
「どーどーぉ、幸村、落ち着いて…」
幸村の事は佐助に任せた。