第14章 愛を冷遇する者 R18ー前ー(謙信)
届かない思いを、掠れた声に乗せても、
その声も届かない。
彼の心には響かない。
「あっ…ヤッダ…わた、しっっ……けんし…さ…ンッッぁ…好きっすきっ…すきぃ〜…」
「あぁ、俺も、好きだっ…ぃゃ…愛してる」
さっき、私が言おうとして、遮られ、
言わせてもらえなかった言葉を、
謙信様が口にした。
(本当?本当に?)
嘘、嘘、ウソだっ。
振り子の様に揺れて、揺らされて、
快楽に飲み込まれながらも
頭の隅で考える。
見た事もない幼い謙信様と
顔も声も名前以外何も知らない幼い姫に、
悲しみながらも嫉妬する。
(アナタが愛してるのはーー……)
シャランッ〜シャラ…
腕を強く引いた勢いで、鈴が鳴った。
「あっ、あっっ、あぁ、いっっちゃ…
…うぅーーんんっっ、アァぁっ」
清らかな鈴の音を追うように私は、
高い声を宙へと放った。
そして、一瞬遅れて、
強く打ち付けられた肌の奥に、
謙信様の熱が弾けるのを感じた。
ー前、了ー