第11章 イジワル震源地(家康)
暗い館内、スクリーンの光で、潤んだ眼がコチラを見ているのがよく分かる。
(そんな眼て見られたらーー…)
唾を飲み込んだ。
(止まらなく、止められなくなる)
悪戯に手を出してしまった事を後悔する。
(俺、馬鹿だ)
ストールの下、華月の腿の間からスッと手を引き抜いた。
「ごめん、映画観てて。
…俺は、外で待ってるから」
「えっ、家康?」
華月が慌てて俺の手を掴んで、
俺を見るけれど、
「アンタはちゃんと最後まで観て」
そう言って、やんわりと華月の手を左手で外すと、立ち上がった。