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▽▲ 大人ノ玩具箱 ▲▽【イケメン戦国】(R18)

第5章 ▼華ニハ蜜ヲ△ *徳川家康ルート*



降り止まぬ雨音を、ハナは家康の腕に抱かれ、聞いていた。

体は気怠いが、自分を抱き寄せる腕の温もりが、どうしようもなく心地よかった。

「雨、止まないね」

気怠い体と頭を家康に預け、東屋の中、ハナが呟く。

「ハナ、寒くない?」
「うん、大丈夫だよ」

それでも、家康はハナを温めるように膝の上で抱きしめなおす。

二人の体からは、あの香りは消え去っていた。
それでも、触れればやはり、熱を生む。

「あの香りの成分は、発汗によって揮発するんだ…だからもう、効用はないよ」
「うん…」

それからしばらく、言葉なくそっと寄り添い続ける二人。

「ねぇ…ハナ」
「うん?」

ハナの風呂敷から、残った書状を家康が取り上げる。

「今から少しの間だけ、素直になってあげるから…聞いて」
「―――うん」

目元を紅く染め、翡翠の瞳がまっすぐ見つめる。

「―――ハナが、好きだよ。たぶんあんたよりずっと…何倍も。あんたを知らなかった時間が信じられないくらい…ハナに溺れてる」
「…うんっ」

ハナの瞳から、温かな涙が一粒、煌めいた。

「だから、どこにも行かないで。ここにいて……この書状も、もう要らない」

家康の腕が御簾の外へと突き出され、その手の中の書状はすぐに雨に濡れ…墨を溶かして流れていった。

「俺のこと、信じてくれる?」
「……家康は?」

二人の視線が重なりあい、どちらともなく小さく笑う。



「仕方ないから……信じてあげる」



それはどちらの言葉だったのか…。

甘く蕩ける口付けの中、その音は優しく溶けて二人の胸に沁みこんでいった。







ーfinー
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