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第4章 ▼華ニハ蜜ヲ△ *豊臣秀吉ルート*
それは、信長から受け取ったものと同じ薔薇を模った砂糖菓子だった。
「気に入ったか?」
「秀吉さんこの砂糖菓子!今朝、信長様からも頂いたの!」
「…お?そうなのか…」
―――…なんだ、先越されたな。
秀吉の最後の言葉は、ハナの耳には届かなかった。
ハナは小首を傾げ、”んー?”と唸っていたからだ。
「同じだと思うんだけど…でも色が違うかな。香りも…」
「色?香り?」
秀吉は怪訝な顔をして見せた。
ハナは目の前の砂糖菓子をもう一度よく見た。
天主で見た砂糖菓子は、確かに中心から外側へ紅くグラデーションを描くように色づいていたが、目の前のそれは砂糖本来の純白に輝いていた。
香りはなく、秀吉の点てるお茶とイ草の香りが漂うだけ。
「俺も御館様から頂いたから、同じもののはずだがなぁ」
「そうなんだ…私の見間違いかな…」
ハナは、慣れた手つきで茶筅を操る秀吉の横顔を眺めた。
見慣れたいつもの”過保護な兄”の笑顔に、心地よい安堵感を覚える。
―――…トクトクトクトク…
なぜだか、鼓動だけが大きく響いていた。
「どんな香りだった?」
「え?」
目の前に秀吉の点てた薄茶が差し出される。
その手を辿って秀吉の顔を見上げると、ハナの鼓動が一瞬高鳴った。
秀吉の瞳がすっと細められ、ハナを見つめていた。
「甘い…花の蜜みたいな香り…」
「今のお前みたいな、か?」
「―――…え?」