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▽▲ 大人ノ玩具箱 ▲▽【イケメン戦国】(R18)

第23章 ▲月華美人▽ *明智光秀* -拾肆-





無意識だった。

もはや、反射的と言ってもいい。



―――パシッ。

軽い音を立て、ハナの両手が、光秀の手を握りしめていた。

「…この反応は予想外だが…」
「―――…あっこれは…その、えっと…っ」

人はこれほど紅くなれるのかと思われるほどの顔をして、ハナは光秀の顔と握りしめた手を見比べた。

顎に添えていた手を握りしめられたところで、光秀が顔を僅かに寄せれば唇が触れる位置に二人の顔はある。
片手を押さえられたとしても、口付けを避けることはできないだろう。
何より、ハナの顔を見れば、答えは明らかだった。

拒否ではないなら、この手の意味は……。



「―――…あぁ」



思い当たった。
光秀の黄金の瞳が、僅かに揺れた。





 『…その先は、黙っていろ…ハナ』

そう言って、拒んだのは光秀だった。





 『応えてくれはしないのに、どうして…

  口付けようとするんですか?』

ハナもまた、光秀を拒んだ。





あの時の、互いに抱く想いは、今この時と然程の違いも無かったろうに。





己が手を握りしめるハナの小さな柔い手を、逆に握り返してその手の甲に口付けをひとつ。

ハナに見せつけるように、落として見せた。



「光秀さん…」

やはり、同じことを思っていたのか。
ハナの瞳も、儚く揺れた。



「……お前に、応えたい」



ハナの顔をじっと見つめて、光秀の静かな声音が囁いた。
涙を堪えたその顔が、こくりと一つ、小さく頷く。
しかしすぐに顔を上げ、涙に濡れた瞳で微笑んだ。



「貴方を、愛して…いいですか?」



ハナの前髪をかきあげて、光秀は互いの額をそっと繋げた。
黄金の瞳が、ハナの瞳を優しく見つめる。





「―――…愛してくれ、誰よりも…。

 それ以上に、俺がお前を愛してやる」





それ以上。
二人の間に、言葉は要らない。





証明するかのように、二人の唇がそっと触れあい、重なり合った。




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