▽▲ 大人ノ玩具箱 ▲▽【イケメン戦国】(R18)
第18章 ▲月華美人▽ *明智光秀* -玖-
――ガタンッ!!
男がはっと顔を上げる。
立ち上がり、呆然とした長身の光秀がそこにいた。
「――どういう、ことだ…っ」
『 俺を当て馬にした報い――…
しっかり受けろよ 』
政宗…お前が――…っ?
「さらに…城の北面において――…」
次の男の言葉に、光秀の理性は完全に吹き飛んだ。
「白幕の――…誂えが」
「――早馬を…急げっ!!!」
「はっ!!」
叫んだ時には、すでに光秀の体は部屋を飛び出していた。
遅れて側近が飛び出し光秀の後ろを追う。
夜半から降り出した細雨は、いつの間にか陰雨となり、道を無慈悲にぬかるませていた。
しかし光秀は馬脚に物を言わせるが如く、強行して駆けていった。
急ぎ纏った雨具も、吹きすさぶ強風の前に為す術もなく後ろへ流れていたが、それすら構う事すらなく光秀はただ只管に、湖を越して遠くにそびえる安土城を睨みつけ、なお足りぬとばかりに馬を急かし走らせ続けた。
(間に合え…間に合え…間に合えっ!!!)
念仏のように、その一念のみを繰り返し――…