▽▲ 大人ノ玩具箱 ▲▽【イケメン戦国】(R18)
第1章 ▼大人ノ玩具箱△ ー前書キ的小話ー
「―――…なんだ、それは?」
場は変わって、安土城大広間。
軍議が終わる頃合いを見て、ハナが箱のようなものを抱えて訪ねてきた。
信長を始め、それぞれ武将らも訝し気にそれを見つめる。
誰一人として見覚えのない箱。
大きさはハナの両手にちょうど乗る程度の立方体をしており、素材は木製とも鉄製とも言い難い。
全体として黒っぽいが、美しい幾何学模様が見て取れた。
「…箱、なのか?」
「なにこれ、どうやって開けろっての?」
政宗と家康が、代わる代わる箱を捏ね繰り回し、頭を捻る。
「部屋の前に落ちていて…私の時代でいう、秘密箱のようなものだと思う。一定の手順を踏まないと開けられない箱だよ」
「それは面白そうですね!どういった仕組みになっているのでしょう」
三成が瞳をきらきらさせて箱を見る。
「…そんなに気になるなら、やってみれば?」
自分の方へ三成の視線が向くのが、気に入らないのだろう。
家康がうんざりしたように箱を三成に放ってよこす。
「んー、中には何もないのでしょうか?」
受け取った三成が軽く箱を揺すってみるが、音はない。
どこかにとっかかりはないかと三成が箱を見渡した時、ある物を側面に見つけた。
「ハナ様、ここに何か記されております。御覧になりましたか?」
「え、本当?…さっきは気づかなかったけど」
受け取ったハナが側面を見ると、確かにそこに文字が見てとれた。
しかもその字は…