▽▲ 大人ノ玩具箱 ▲▽【イケメン戦国】(R18)
第10章 ▲月華美人▽ *明智光秀* -壱-
「――…っ!…ぅ…ぁっ…っ!」
政宗の、手が止まる。
開こうとした襖のその奥から、何かが聞こえる。
息を堪えるような、呻くような…
その声音の余韻には、覚えがあった。
浮かぶのは、ふわりと微笑む、平和そうな顔だというのに。
今、この状況は何なんだ?
「…ふっぁ…っあっんぅ…っ!!」
一瞬声が上ずる気配。
直後、再び声を押し殺すようにくぐもった。
疑いようがない。
政宗自身、そういったことは嫌いじゃない。
むしろ、戦の前など、猛る躰を持て余し、コトを致すことも少なくない。
相手に、苦労したこともない。
一時の躰だけの関係と、割り切っていれば楽しめる。
そういう女だけを相手にしたから、拗れたことも、もちろんない。
その手の女は、大抵のことには精通しているから、悦ばせるにも術がいる。
自分も、啼かせることには長けているという自負がある。
――だからこそ、この声には覚えがありすぎて、惑う。
なぜ、あいつがそんな声を出す?
しかも、自分を呼び出し、今訪れているこの部屋の主は…
「――っみ…つひ…でっさ…っ!!」
声が、一際切なく響いた。