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▽▲ 大人ノ玩具箱 ▲▽【イケメン戦国】(R18)

第9章 ▲大人ノ玩具箱▽ ー明智光秀ー





今宵は、新月。



星の光は在れど、夜を統べる月はその姿を隠していた。

美しく整えられたその緑の庭は、照らされることなく闇の中、僅かな星明かりにその趣を大きく異にして見せた。
虫の音以外は、音も聞こえぬ静寂な闇夜。
生きとし生けるものが全て眠りに沈む、その刻限。

蝋燭の僅かな明かりを手にして。
庭に面した縁側に、一人の男が立っていた。
白銀の髪を夜風に揺られながら、その視線は星ばかりの夜空をぼんやり見上げていた。
その瞳は黄金に揺れるも、今は硝子玉のように無機質に星々を映し返すのみ。

ただ、虫の声のみ静かに辺りに響き渡っていた。



――不意に。



虫の声が、一時に消え失せた。
それまで響いていた音が消え、耳鳴りと共に、空気が重く耳を覆った。

男の視界に、何かが触れた。

「…なんだ?」

振り返り、男はさらに不審に呟きを漏らす。

「このような夜更けに…蝶…?」

それは、白い蝶だった。

月明かりもない闇夜の中を、まるでその体が光を放っているかの如く、淡い白い光を纏ってヒラヒラと舞いながら、それは光秀の側を飛び回っていた。



その光はどこか妖しく、しかし、同じくらいに神聖で…


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