▽▲ 大人ノ玩具箱 ▲▽【イケメン戦国】(R18)
第2章 ▼華ニハ蜜ヲ△ *共通ルート*
「御館様」
「………光秀か」
断りもなく入室してきた光秀に、信長が鋭い眼光を向ける。
「貴様、今日は登城を禁じておったろう」
「今しがたハナに会いました。あの香りは、御館様の仕業ですね」
信長の言葉を聞いていないかのように、光秀は信長の前に座す。
「気付くか…目敏いことだ」
「……今のハナを、手離してよろしいのですか?」
「構わん」
信長が表情のない瞳で答える。
「あれは俺に幸運を運ぶ香しい華だ。手折るは易しい。だが………枯れてしまっては元も子もない」
どこか気弱いその言葉に、光秀は信長を静かに見上げる。
そんな光秀の視線を受け、信長はふっと不敵の笑みを浮かべて返した。
「であれば、好いた場所で根付かせればよい」
「……御館様は、それでよろしいのですか?」
「貴様もこの俺に異論を申すか?」
口元は笑っているが、紅玉の瞳が鋭い光を宿し、光秀を射抜く。
そんな信長に、光秀は顔色一つ変えず、静かに頭を垂れた。