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第7章 ▼華ニハ蜜ヲ△ *明智光秀ルート*
「――…って思ってる時に、来るよねアンタ」
「…え、何っ?なんか、怒ってる?」
廊下の先の角からひょっこり顔を出して早々、家康にかけられた言葉に後ずさる。
なんだかよくわからないが、家康の機嫌が底辺だということだけは理解した。
三成、秀吉と書状を渡し終え、ハナは家康の御殿へと訪ねてきていた。
しかし、二人からは特にこれと言って指示されることもなく、世話役としての役目を全うできないもどかしさがあり。
家康に相談しようと思っていたのだが…。
(なんとなく……言い出しにくいっ)
家康の雰囲気にすこぶる居たたまれなさを感じたが、しかし風呂敷の中には信長から託された書状があるため、引き下がれない。
ハナは、家康から少し離れた場所におずおずと正座した。
「体調、悪いの…?」
「…何でもないから…ちょっと、薬品の匂いに酔っただけ…」
はぁ…と小さく溜息をついてから、家康は気を取り直してハナに向き合った。
「それで、今日は何の用…って、ハナっ?」
「ちょっとごめんね、家康」
いつの間にか近くに寄っていたハナが、家康の額に手を当てていた。
ハナの顔が、ほんの目の前に迫ってくる。
「ちょっと…っ」
「良かった!熱はないみたいだね」
そう言って、少しだけ安心したようなハナの笑顔を見て、家康の耳が僅かに色づく。
「匂いにあたっただけって言ったでしょ…いいから、あんたの用件言いなよ」
「信長様から書状を預かってきたの。中の用件は教えてもらえなかったんだけど…私にも手伝えることがあれば言ってね」
そう言いながら、眩しい笑顔を向けてくるハナ。
その笑顔を直視できず、家康は顔を背けたまま書状を受け取った。