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君の涙【ヒロアカ】

第2章 ラストJC



 最近変わったことが2つある。というか様子のおかしい人物が2人いる。
 1人目はデク。登下校中よくデクを見かけるけど、テスト前でもないのにプリントやノートを見つめて難しそうな顔をしている。雄英を目指すなら当たり前なのかもしれないけど。それ以外にもお弁当箱の大きさが異常だったり、今にも死にそうな顔をしていたりする。雄英高校受験に向けて、努力している姿はとても格好いいけれど、このままではデクの体が心配だ。

 『デク、最近頑張りすぎてるみたいだけど…大丈夫?』
 「……うん。僕は絶対雄英に行くんだ。いや、行くだけじゃ駄目だ。無個性の僕はもっと頑張らないと駄目なんだ!」
 『デク……』

 デクの綺麗な深緑の瞳が、強く真っ直ぐ私を捉える。なんだかデクが変わった。今まで見たことのない、とてもいい表情をしている。どうやら私が心配する必要はなさそうだ。私も私の進路に向けて頑張らないと。

 『なんか変わったね。すごく格好いいよ』
 「うえええっ!?ぼ、ぼぼ僕がっ!!?いやいや…にそんなこと言ってもらえるなんて凄く嬉しいけど、でも実際ありえないというか!そもそも──」
 『………』


 2人目はかっちゃん。最近全然口を聞いてくれないのだ。

 『かっちゃんおはよう』
 「………」
 『あれ?おーい、かっちゃんってば!』
 「…………るせぇ」

 今までは挨拶するだけでも、足を止めてくれたのに、今では足を止めてくれないし、振り向いてもくれない。しつこいくらいに声を掛けても素っ気なく返されてそれで終わり。目線さえ合わない。かっちゃんになにかしてしまっただろうか。
 ぐるぐる考えても身に覚えがない。強いて言うなら、様子がおかしいのは、かっちゃんがヘドロの敵に襲われた日からだ。当日家にいた私が事件の詳細を知ったのは数日後のことだ。
 商店街で事件があったのはお父さんから聞いていたけど、被害者がかっちゃんだなんて知らなかった。周りにいたヒーローがなかなか手を出せないあいだ、かっちゃん1人で抵抗してただなんて、不謹慎かもしれないけどやっぱりかっちゃんはすごい。
 話してくれなくなったのはとても寂しいけど、かっちゃんも雄英高校志望だ。受験前に気を引き締めているのかもしれない。それなら今はそっとしておく以外に、私にできることはない。

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