第6章 多を牽引する者
昼休みの時間も残りわずか。せっかくの学食デビューだったのに、しっかり味わって食べることが出来なかった。今から戻って食べていては午後の授業に間に合わない。それにもう、さっきの騒動でなんだかお腹いっぱいだ。
先程の続きで他の委員決めをする。さっそく委員長であるデクが進行しようとするが、その前に委員長はやっぱり飯田くんが相応しいと話し始めた。
デクがみんなの前で堂々と自分の意見を話していることに感動する。決してデクをバカにしている訳では無いが、本当に変わったなと嬉しく思わないではいられない。
「委員長の指名ならば仕方あるまい!」
「任せたぜ非常口!」
「非常口飯田!しっかりやれよー!!」
こうしてAクラスの学級委員長は飯田くんに決まった。デクもやってみたらいいのに、と思ったけど飯田くんなら安心してクラスのこと任せられる。飯田くんも満更ではなさそうで、嬉しそうにしている。
ふと切島くんと目が合う。すぐに目は逸らされてしまったけど、なんだったんだろう。
そんなことを考えながら窓の外を見る。何重にも強化された校門が粉々に破壊されている。敵ではなくただのマスコミが侵入したらしいけど、ただのマスコミがここまでするだろうか。なんだか胸騒ぎがする。嫌な予感が的中しなければいいけど。
を抱きしめた感覚がまだ体に残っている。揺れる髪からいい匂いがして、見た目よりも体が小さくて、俺と違ってすげぇ柔らかくて。このまま力を入れれば、簡単に壊れてしまいそうな、そんな感じだった。だから他の奴らに潰されねぇように俺が守らねぇと。
にしてもすげぇことしちまった。いや、でも、抱きついてきたのはだし、俺は不可抗力的な?だから俺は悪くない……だが、ここは男らしく責任を取るべきだろうか。なんの責任かってそりゃ…あれだろ。
騒動が収まり、改めて委員決めをすることになった。緑谷の発案で飯田が学級委員長になった。確かに食堂での飯田はアツかったから納得できる。
ふと自然に目線がの方へ向く。の視線が重なりドキリとして、思わず思いっきり目を逸らす。ああ、これじゃあイメージ悪ぃな。
それにしてもってあんなに可愛かったっけな。