第5章 夢を追う覚悟
家に着いてしばらく経たないうちにパパも帰ってくる。ヒーロー兼教師の仕事は大変らしく、ご飯を作っている間パパはソファに凭れてぐったりしていた。テーブルの上を料理を乗せたお皿で色付ける。パパを呼び、手を合わせていただきますをする。
「学校はどうだい?」
パパも同じ学校にいるので、その質問に少し違和感を感じる。まあ、一緒に過ごしている訳では無いが。
『クラスのみんなもいい人だし、楽しく過ごしてるよ。あ、でも昨日さ、個性把握テストをしたんだけど…相澤先生に怒られたというか…』
「うん、相澤くんから話は聞いているよ。個性を消されたらしいね」
『そうなの。それで結果は最下位で…最初最下位の者は除籍って言ってたからどうしようかと思ってさ。結局は嘘だったから除籍にはならなかったけど、でもはヒーローに向いてないって言われちゃって…』
思い出すと、改めて自分が非力だと実感させられる。今日の戦闘訓練で核兵器を回収したことに、勝手に舞い上がっていたけど、それもただの自己満足だ。
「今日戦闘訓練見させてもらったが、まだまだ経験不足とはいえ、はヒーローになれる個性を持ち力を秘めている。私はそう確信している」
『でも、それだけじゃダメなんだ。個性に頼るだけじゃなくて、私自身も強くならなきゃ…』
先程まで落ち込んでいたのに、もう次の課題を見つけている。今日の戦闘訓練のVTRを見た時の相澤の感想を、オールマイトは伝えようと思っていたが、その必要はなさそうだ。
「どうだい、相澤くん。うちの娘は」
「…娘だからって贔屓するのは良くないですよ。まあ、確かにこりゃあ、すごい個性だ。特訓を重ねれば強くなる」
「そうだろう!まるでダイヤモンドの原石。磨けば磨くほど彼女は光り輝くぞ!ああ、それと相澤くん。うちの娘は料理が上手でね、実はこの弁当を作ったのもなんだよ。今朝のご飯も───」
「………」
「自分の実力を知り、次の課題を見つけることは強くなるためにとても大切なことだ。やっぱりは素質があるよ」
『っ、ありがとう。オールマイトにそんなこと言われたら、かっこいいヒーローになるしかないねっ!よぉし、ごはんおかわり!』