第13章 学生の本業
今日の授業は遊びの要素を含めた救助訓練レースだった。私はデクや飯田くんたちと同じ組。救難信号を出したパパを誰よりも早く助けに行こうとしたけど、途中で足を滑らして落下したデクを助けていたら、あっという間に瀬呂くんに抜かされてしまった。
「デクくんの動きすごかったね!」
『うんうん!なんだかちょっと勝己みたいだった』
「ちゃん、デクくんと職場体験同じやんな?どんな感じやった?」
『うーん…デクはひたすら実践してたな』
「そうなんや~」
更衣室でお茶子ちゃんと話しながら制服に着替える。目をキラキラさせながらデクの話をするお茶子ちゃんはまるで…うん。
「なんか隣うるさくない?」
「この声は峰田さん…ですわね」
「ちょっとウチ聞いてみるわ」
まるで叫ぶような峰田君の声が隣─男子更衣室から聞こえてくる。響香ちゃんがイヤホンジャックを壁に刺して会話の内容を聞いているけど、なにもしなくても峰田くんの声は聞こえる。
「八百万のヤオヨロッパイ!芦戸の腰つき!葉隠の浮かぶ下着!麗日のうららかボディに蛙吹の意外おっぱい!からののメリハリボディィイイ……ああああああ!!!」
壁にある小さな穴からイヤホンジャックを突き刺す響香ちゃん。その先にある峰田くんの目に、容赦なく爆音を流し込む。
「わっ!!」
「響香ちゃん、どうしたの?」
「なんか熱いのと冷たいのがきて…」
「ああああああああ!オ、オイラのリトルミネタがあ!!」
「ちょっと轟くん!部屋まで凍って…」
「爆豪もこんな狭い部屋ん中で暴れんなって!!」
ガシャン!とかボンッ!とか隣の部屋から騒音が聞こえてくる。目には見えないけど、何が起きているのかなんとなく想像がつく。デクと切島くんの制止する声が聞こえるけど、それでもうるさいままだ。
『…とりあえず着替えよっか』
「せやな」
「えー…そろそろ夏休みも近いが、もちろん君らが30日間1ヶ月休める道理はない」
「まさか…」
「夏休み林間合宿やるぞ」
林間合宿か。普通の高校とはやっぱり違うんだろうな。相澤先生の言葉に思い思いに発言をする。わいわいと騒ぐクラスは、期末テストで合格点に満たなかった奴は学校で補習地獄、という先生の言葉によって雰囲気が大きく変わった。