第13章 冀求
ミホークは鋭い眼差しをスモーカーへ向ける。
「海賊同士の小競り合いならいざ知らず、xxxxはお前たちにとって重要人物ではなかったのか?護れぬのなら、海軍に任せておくわけにはいかぬ」
「…なぜお前がそれを気にかける必要がある」
「お前とて同じであろう」
「それは……」
「xxxxを俺に預けろ」
「なっ何だと…!」
その方が安全とは思わぬか?と重ねて問うミホークに、スモーカーは閉口した。
海軍や政府にとって、私という存在を手中に入れることは重要な意味を成すが、存命でさえあれば良いと思っているだろう。
多少不敬な連中に傷つけられようが何をされようが構わない、と言い返さない理由がスモーカーにあることを、私は知っている…。
確かに、ミホークは他の七武海に比べれば信用に足る人物のように思えるが、普段どこにいるのか不透明な部分も多く、海賊であることに変わりはない。
そもそも海軍にとって七武海制度とは諸刃の剣で、信用などあってないようなものだ。
突拍子もない提案に、スモーカーは狼狽している様子だった。
ミホークの指摘は正しいが、そのような要求を受け入れられるはずもなく、ただ言い返せないでいるのだ。
私はこの場を治めるべく口を開いた。
まだ、私にはここにいなくてはならない理由もある。
「ミホーク…提案は嬉しいが、私は任務以外でこの地を離れるわけにはいかない」
「…そうか。ならば場所を移そう、xxxx」
ミホークは片腕で私を抱きかかえると、バルコニーから外へ飛び出した。
待て!と止めに入ったスモーカーは何かを言おうとしていたが、騒ぎを聞きつけた海兵たちが集まってきたのが遠目に見えた。
成すがままの私は見届けることもできないが、きっと報告などの後始末に追われることだろうと、少し不憫に思った。
助けに入ってくれた礼を伝えられなかったので、ミホークの腕の中で、小さくありがとうと呟いた。
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