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許色【ONE PIECE】

第12章 許色


私があらゆる者、特に傑物や強大な権力者から目をかけられていることは、単に事実として受け止めている。
貴重な戦闘族の末裔とあれば、客観的に見ても価値があるだろう。

世間でも、ここ海軍本部でもそれは周知の事実で、明媚される対象であるが故に、それを利用して誰と関係していてもおかしくないと噂されていた。
それはxxxxが奔放な性格だからというわけではなく、曲者の策士と称されるが故であった。
つまり、世間的にはスパイとして海軍へ潜入していると考える者が多いのだ。

ヒナも私とスモーカーが親密になることで、海軍の機密情報が漏れることを懸念するだろうと思っていた。
しかし、彼女はそれ以上に、スモーカーがこれ以上傷付かぬようにと思って、私の前に現れたのだ。

「…スモーカーもいい同期を持っているじゃないか」
「誤魔化さないで。あなたは彼を都合のいい駒として利用しようとしているのでしょう?」

ヒナの口調は強いままだ。
確かに始めは、保身のためにうまく利用してやろうとも考えていた。

「今のスモーカーは、逆に利用することは難しい」
「それってどういう…」
そのままの意味だ、と何か言いかけたヒナを諭す。

「スモーカー程の男が分別を付けられなくなるとは思えないが…もっと同期を信じてやったらどうだ?」
「あなたがそれを言うの…!」
「これ以上は、証拠を持ってきてからにしてくれないか」

ヒナは不本意な表情のまま何も言えなくなって、そうね、とだけ漏らし去って行った。


「わかっているさ。これ以上甘えてはいけないことくらい」


胸の奥でちくりと疼く痛みを感じながら、誰もいない廻廊で呟いた。


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