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許色【ONE PIECE】

第2章 懐柔


海軍が私の居場所を突き止められたのは偶然だった。

所在不明であれば、四方八方に文書を飛ばして近くの駐屯所へ誘導するしかない。
そして、たまたま近くにいた野放しのスモーカーが、護送の役目を任されたのだ。


スモーカーに先導され、護送船の一室に通される。
部屋はそれなりに広く、ゆったりと寛げそうな印象だ。
普段は客室として使用しているのだろう。

とはいえ、部屋の外は海兵がうろついて、警備はかなり厳重となっている。
私が能力者だったら、海楼石の手錠でもつけられていたかもしれない。
正式に七武海となるまでは仕方のない待遇かもしれないが、少々面倒に思った。

「スモーカーさん!奴を本当に乗船させるんですか…って…龍騎士…!!!」
バタンと勢いよくドアを開けて入ってきた眼鏡の女性には、見覚えがあった。
どこかでゾロとやりあっていた、海軍の剣士だ。

「こればかりは上の決定に逆らえねェだろ、たしぎ。」
「でも…海賊は信用できません!手負いで闘えないと言いつつ、大人しく従ったふりをしてスモーカーさんを狙うかも…!!」
何を企んでいるか分かりません!と身振り手振りで懸命に訴えると、彼女の後ろに立つ海兵たちもうんうん頷く。

穏便に済めばと思っていたのだが、そうはいかなくなりそうだ。
私はゆっくりと口を開いた。

「私が七武海に選ばれたのは、利害が一致した結果だ。それに、スモーカーの首を獲っても私に得はない。」
「"麦わらの一味"の言うことなど…っ!」

彼女、たしぎはキッと睨んで詰め寄ってきた。
私は瞬く間に彼女の首に左腕を伸ばし、片手で掴み上げた。

「少尉!!」「てめェ…!」「くそっ…なんて奴だ!」
海兵たちが武器を構えて騒ぎ始め、物々しい空気になっていく。

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