第4章 第一夜
奏に引っ張られ近くの路地裏に入りやっと手を離す
「この辺でいいかな」
「お前一体…。だいたいさっきの人って…」
「ジャッジメントの古森さんだよ」
奏はパーカーのポケットに手を入れて答える
「じゃなくて…っ!!」
「しっ!」
いきなり悠太の口を抑える
「大声出さないで!あれ…見なさない」
「……?」
奏が指さした方向を見るとさっきの黒ずくめの男の仲間と一般人らしき人が何か取り引きをしていた
その様子に目を見開く悠太
「あまり大声出さないでよ?気付かれるから。わかった?」
「……ッ」
奏の質問にコクコクと頷くと手を離す
「なんだよ…あれ」
「生取り引き現場よ」
「は?」
「さっき、篠原くん(あなた)の前に現れた黒ずくめの男たちの仲間よ。取り引き相手は…多分一般人よ」
「一般人!?」
二度目の大声に再び悠太の口を塞ぐ奏
「声大きい!」
「……はい」
「まったく…」
二人の様子に気付かない
それもそのはずだ
奏がある仕掛けをして二人の姿を見えなくしているからだ
「このまま、あなたを家に行かすわけには行かないわ」
「なに言って…」
「知って欲しいのよ」
「なにをだ」
「この都市でいま何が起きてるのか」
再び悠太の手を握りある場所へと向かう