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【ヒロアカ】Don't touch me.【轟】

第8章 Belief



一段落した頃、飯田くんもはっと我に返り、ネイティブさんも動けるようになった。
私は飯田くんの出血の酷い両腕の止血、それから緑谷くんが庇っていた右腕を綿で固定し、足の手当をした。

「みんなぼろぼろだね……」

敵の拘束を終えた轟くんの横にしゃがみ、血に濡れた腕に手を翳し綿できつく包んだ。随分軽くなったポーチがみんなの怪我の酷さを物語っていて視線を落とした。

「そんな顔すんな。誰も死んじゃいねぇだろ」
「……うん、轟くんの言った通りだね」

そうは言われても、友人達の怪我を見て笑っていられるほど私は強くなかった。

「ありがとな」

ぽんぽん、とあやすように頭を撫でられて、何も言えなくなる。髪を梳きながら下ろされた右手。それをそっと捕まえて握ると、戦闘の後だからか随分冷たくなっていた。
ほんの少し温めるように両手で包んだ後、ゆっくりと離した。

「行こう。私が引くよ、無傷だし」

立ち上がった轟くんの左手からロープを受け取ろうとしたけれど、飯田くんが自分が持つと私の前に出た。

何度か説得をしたけれど、結局、轟くんは頑なに譲らなかった為、お願いすることにした。

ネイティブさんが緑谷くんを背負い、私たちはその後に続き路地を歩く。すると、ケンの私を呼ぶ声が聞こえた。

「ケン!」
「マリー!!」

すごい速さでやって来たケンはブレーキが間に合わずちょっと通り過ぎた。私の前に現れたケンは安堵の表情を浮かべた後、わなわなと震えたから、咄嗟に怒られるんじゃないかと身構えた。

「っよかったぁぁ…めちゃくちゃ心配したんだよ!居なくなるわ戻ったら携帯落ちてるわ謎のマップ表示されてるわで!何があったのかと……」

私の予想に反して、ケンは大きな溜息をついて脱力した。
また心配をかけてしまった……あちこちで迷惑かけてしまうな、私……。
突然現れたケンに皆、目をぱちくりさせていた。
そんな周りの様子にケンは、
「ヤマゴンヒーロー事務所のサイドキックです。マリーの職場体験の!」
と笑った。



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