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【ヒロアカ】Don't touch me.【轟】

第8章 Belief



外の状況を確認する。前方のビル群に黒い煙が上がっている。その煙の近く、宙を何かが横切るのが見えた。
──なんで彼がここに!?

「緑谷くん!」
「マリー?どうしたの?」
「友達が!友達がいて!あっちの騒動の方に飛んでいったんです……!いっ行かなきゃ……!」
「え!?」

どうしたものかとケンはヤマゴンを見やる。ヤマゴンは苦虫を噛み潰したような顔で首を横に振った。

「マリー、落ち着け。わしらの任務はコメちゃんの護衛だ。それにここもまだ安全とは言えない。コメちゃんと彼らを安全な場所に避難させなくちゃね」
「そう、ですね……でも、嫌な予感がするんです」

保須に蔓延る悪意。それはどうしようもなく私を蝕んでは不安にさせる。眉を顰めて、視線を落とすと溜息が聞こえた。

「マリーはまだヒーローの卵だよ。お友達が気になるのはわかるが、敵と遭遇した時、お前さんは個性を使っちゃいけない。それはつまり丸腰って事だ」
「……」
「わしは丸腰の君も守らなきゃいけない。得体の知れない危険に晒す訳にはいかないんだよ」
「……はい。ごめんなさい」

やりきれない気持ちが溢れる。ヤマゴンの言う通りだ。
私はまだヒーローのように個性を使い戦うことは許されていない、守られる立場にある。

それに、ここには沢山の人がいる。二人共この場を離れられない。私が単独で動いて何かあったらヤマゴン達は責任を取らなければならないだろう。

唇を噛むとヤマゴンは笑い声を上げた。

「謝るこたないよ。避難が済んだらケンと共にお友達探しといで。わしは任務から離れられないからね。ただし、絶対に無茶はするなよ?ケン、頼んだぞ」

ヤマゴンはかっこいいヒーローの笑みを湛えて背を向ける。ケンはやれやれと両手を上げて頷いた。

「っはい!!」

私は大きく応える。
緑谷くん、無事でいて──。
逸る気持ちを抑え、米田さんの護衛、そして乗客の誘導に当たった。

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