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【ヒロアカ】Don't touch me.【轟】

第7章 Catalyst



職員室が近づくと、扉から現れるよく知った紅白の頭が見えた。向こうもこちらに気がついて、はた、と動きを止めた。

「お。綿世……と、爆豪」
「そこ退きやがれ、クソ舐めプ野郎」
「珍しい組み合わせだな」
「偶然廊下で一緒になって。ね、爆豪くん」
「ね、じゃねえ!さっさと退けや!」

今にも獣の唸り声が聞こえてきそうな顔で怒鳴り出す爆豪くん。体育祭の事、相当根に持ってるなぁ。

はらはらしながら二人の様子を見守っていたけど、轟くんは爆豪くんの怒りに気づいていて無視してるのか、はたまた全く気づいていないのか……特に反応することも、表情を変えることもしない。

「綿世、飯行かねぇか」
「行くーこれ出してくるから待っててね」
「羊ィ!俺の前を歩くんじゃねえ!」
「わっわかったから大きな声出さないで……あと、羊じゃないです」

爆豪くんに道を譲り、その後をついて職員室に入った。なんだかんだ爆豪くんと一緒に職場体験の希望届けを提出したら、相澤先生とセメントス先生にも珍しい組み合わせだと言われた。
爆豪くんは眉間にしわ寄せて口をへの字に歪めている。俺は今不機嫌ですよって顔だ。

大股歩きで先に去っていく彼を見送った。それから私も相澤先生にお願いします、と残して職員室を後にした。

職員室を出ると廊下の窓際に轟くんが立っていた。その姿を見るとなんだか嬉しくなって自然と笑みが零れる。
彼の元に駆け寄って、一緒に食堂に向かった。

「爆豪と何話してたんだ?」
「ん?職場体験の事務所の話だよ」
「……そうか」
「轟くんはお父さんのところだよね」

意外にも轟くんはエンデヴァーの事務所に決めたと聞いた。
いくら憎んでいると言ってもNo.2の実力を持ったプロだ。学べるものは多いだろう。

「特訓、約束したが……しばらく会えなくなるな」
「ねー。また職場体験明けだね」
「まだ二日あるだろ。付き合う」
「ほんと!ありがとう!」

昨日の今日でまた特訓に付き合ってくれると思わなかった。一人じゃイメージトレーニングしか出来ないからとても助かる。笑ってお礼を言えば轟くんは照れたように顔を逸らした。

それぞれ好きなメニューを選び、トレーを持って合流すると空いている適当な席に並んで座った。賑やかな食堂でこれまた珍しく、二人で昼食を摂った。

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