第6章 Ripple
鳥のさえずり。カーテンの隙間から陽の光が射し込む。その場に似つかわしくない、けたたましく鳴り響く携帯のアラーム。私はそれを寝転んだままうんと手を伸ばして止めた。
んー、もう朝か。
携帯を見れば五時ジャスト。
起き上がってチェストから出したTシャツとハーフパンツに着替える。この時間、母はまだ寝ているから家の中はとても静かだ。
軽食を摂りニュースを見ながら身支度を済ませてウインドブレーカーを羽織る。イヤホンを装着して心が晴れるような爽快感溢れる曲を流した。
朝日に照らされ、私の足元から青みがかった影が伸びている。
一定のペースで歩道を走り、やがて土手に出る。ここには私のようにランニングに励む人や、ボールと戯れる人、自転車で駆けていく人……いろんな人がいる。
土手を走って行くとやがて川べりに小さな公園が現れる。
そこにはトレーニングにうってつけのクライミングウォールや、大きな鉄棒、雲梯等がある。私のお気に入りのスポットだ。
この時間なら誰もいない。もう少しすると、細くて小さいのにやたらムキムキなスーパーおじいちゃんが来る。挨拶とお天気の話をする程度の仲だ。私は彼は元ヒーローか何かじゃないかと踏んでいる。
「ふう……」
ウインドブレーカーを脱いでベンチに置いた。いつものように壁を登るとじわじわと汗が滲む。地味だし簡単に見えるけど意外と全身の筋肉を使うんだ。
それが終わったら雲梯。普通に渡る他、飛び雲梯、片手雲梯。上に立って飛び越えるように渡った事もあるけど、これは通りすがりのヒーローに注意されたのでもうやっていない。
その他気分で鉄棒をしたり、タイヤを両足ジャンプ縛りで越えたりとか。
昨日もこんな風に日課をこなし、その後は体育祭の録画の続きをみて、それからシェラタンさんについて調べて過ごした。