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【ヒロアカ】Don't touch me.【轟】

第6章 Ripple



「相澤先生!!」
「なんだ……その顔、嫌な予感しかしないが」

体育祭終了後。短いホームルームを終えて解散となるや否や颯爽と立ち去る相澤先生を追いかけて引き止めた。
相澤先生の醸し出す嫌そうな空気に気づかない振りをする。やる気を前面に押し出して両の拳を握った。

「放課後、トラウマ克服の特訓に付き合ってくれませんか!ちょっと触ってくれるだけでいいので!」
「……却下だ。考えてみろ、教師が女子生徒にベタベタ触ってるのが公になったらどうなる」
「私が特訓です、と主張します」
「世間はそれを受け入れないだろう。とにかく、駄目だ。そういうのは教師以外に頼むんだな」
「ええーそんなぁ……」

まぁ、先生が逮捕なんかされたら嫌だしな……と渋々諦める。あまりに落ち込んでいるように見えたのか、相澤先生は溜息をついて黒いファイルで私の頭をぺし、と叩いた。

「他にいるだろ、お前が信用してる奴。そいつに聞いてみろ」
「私が、信用してる……はっ、はい!そっか!きいてみます!」
「やんなら演習場か空き教室使え。監視がついてるから。使用許可取れよ」
「ありがとうございます!」

初めは相澤先生超怖いと思ってたけど、本当は生徒思いの優しい先生だ。USJの時だって身を挺して私達を守ってくれた。
相澤先生優しい、素敵、最高!と浮き足立って教室に戻ろうとしたらまた頭を叩かれた。

「なっなんですかー」
「何となく」
「何となくは似合わないですよ、非合理的!」
「黙ってさっさと行け」
「はーい。先生、さようなら!」

追い払うような仕草をされたから、ちょっと不貞腐れた返事をして笑って手を振った。
教室に戻るとまだ生徒は残っていて、轟くんも鞄に荷物を纏めているところだった。逸る気持ちを抑えて、ごく自然に声をかける。

「お疲れ様、一緒に帰ろう」

轟くんはこくりと頷いて鞄を背負った。安堵の笑みを浮かべて教室を後にする。いつもよりゆっくり歩く轟くんの隣を歩いて駅を目指した。

「綿世からは、初めてだな」

轟くんは俯きがちに小さく、独り言のように呟いた。
確かに私から帰ろうと誘ったのは初めてだ。改めて振り返って、そういえば初めは一緒に帰ることにちょっと抵抗していたなぁと思う。
だって、いきなりだったし、わけわからなかったし。思い返して笑みを零し、そういえばそうだねと返した。


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