• テキストサイズ

【ヒロアカ】Don't touch me.【轟】

第6章 Ripple



その後、轟くんは飯田くんに、爆豪くんは常闇くんに勝利して決勝では二人がぶつかることとなった。
轟くんは緑谷くんとの戦いから、どうすべきか迷っているようだった。無理もないと思う。今までの考えを根底から覆され、新たな道を示されたんだ。

悩んで、迷って、考えて、そうしてやっと前に進める。
私もそうだった。心操くんに言われて、悩んで、考えて、答えを見つけたんだ。自分はこの先どうするのか。どうしたいのか。
──轟くんもきっと、答えを見つけられる。


決勝戦、爆豪くんとの試合で終盤轟くんは左の炎を出したが、拳を交える寸前に引っ込めてしまった。場外に吹き飛び打ち付けられたのか、氷の壁に横たわる轟くん。その姿に胸が痛む。

駆け寄りたい衝動に駆られるのは、それほど彼が私の中で大きな存在になっているということだろうか。わからないけど、とにかく早く話がしたいと思った。
彼はそれを望んでいないかもしれないのに。こんな時って一人になりたいと思うものだってわかってるのに。
自分本位だな、と悲しくなるけれど、この思いが無くなることはなかった。

表彰台に並ぶ三人。爆豪くん、轟くん、常闇くん。常闇くんと同じく三位の飯田くんは、お兄さんがヴィランに襲われたと連絡が入り早退した。
インゲニウム……心優しいヒーロー。誰にでも分け隔てなく優しく、朗らかなところが私の兄と似ているんだ。他人事に思えなくて、胸の奥がざわざわとさざめき立った。

オールマイト先生が三人に順番にメダルを掛けていく。爆豪くんは大暴れしていて、捕らわれた猛獣の如く拘束されていたが、オールマイト先生によって解かれてメダルを咥えさせられていた。
爆豪くんは本気の轟くんに勝ってこその一位であって、それ以外はゴミだと言っていた。納得いかなくてめちゃくちゃムカついてるんだ。
でも、轟くんが考えているのはたぶん勝敗の事ではなくて。彼の左手を見つめる眼差しに、小さく微笑んだ。

「お疲れ様でしたー!!」
「プルス……えっ!?」
「そこはPlus ultra!!でしょー!」

オールマイト先生との噛み合わなさに、おかしくて笑ってしまう。先生、可愛いなぁ。そんなこんなで体育祭はちょっぴり締まらない感じで幕を閉じた。

悔しさ、憧れ、不安。いろんな感情が私の中で巡る。私も過去を乗り越えなければならない。拳を握って空を仰いだ。
/ 129ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp