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【ヒロアカ】Don't touch me.【轟】

第6章 Ripple



リカバリーガール出張所、と描かれたファンシーな看板。その割に飾り気のない扉をノックして静かに開けると、中にいた面々が大きく肩を揺らして驚いた。緑谷くんと、治与先生と、誰だろう?金髪でぶかぶかのスーツを着たやけに細身な男性だ。
でも、どこかで見たような……?気のせいだろうか。

「あっ、ごめんなさい……お話の途中でしたか?」
「いや。大丈夫だよ」
「どうしたの、綿世さん」

緑谷くんはごしごしと目を擦って首を傾げる。
怪我のことを聞こうとしたけれど、治与先生にこれから手術だとせっつかれて慌てて本題に入った。

「緑谷くん、試合凄かったよ。私轟くんと仲良い方だと思ってたけど、何も出来なかった。……ぼろぼろになって戦って、救って。本当に凄いよ」
「そんな……僕はただ、夢中で、悔しくて……」
「あのね、私が憧れてるヒーローも、ぼろぼろになりながら、私を──私の心も救ってくれたんだ」

緑谷くんそのヒーローにちょっと似てる、と呟くとほんのり頬を赤らめて戸惑ったように金髪の男性と私を交互に見つめた。

「怪我治ったら一緒に遊ぼう!緑谷くんの話聞きたい」
「うっうううん!もちろん、ぼぼ僕なんかでよければ……あまり楽しい話出来ないかもしれないけど……」
「一瞬断られたのかと思った。じゃあ、また後で。怪我、無理しないでね」

緑谷くんは今までどうやってこの個性と付き合ってきたのだろう。まだ入学して間もないのに彼は何度も治癒を施されている……こんな大怪我ばかりしていては彼の身が持たないのではないか。
あちこち包帯でぐるぐる巻きのその姿は見ていてとても辛いけれど、私はほんの少し眉を下げるだけにとどめて微笑んだ。

「ほら、手術の時間だ。心配しなくていいからさっさとお戻りよ」
「はい。失礼しました」

治与先生と金髪の男性にお辞儀して退室した。
緑谷くん、早く良くなりますように。胸の内で祈って廊下を早足で歩いた。
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