第6章 Ripple
『今回の体育祭、両者トップクラスの成績!まさしく両雄並び立ち、今!!』
ちょうど席に戻った直後、緑谷くんと轟くんの試合の火蓋が切られた。
開始の声と共に鋭い氷の壁が緑谷くんを襲う。瞬時に緑谷くんは指を弾き、超パワーで打ち破った。指一本の攻撃なのに冷気が観客席まで飛ばされる程の威力だ。
使ったら壊れてしまうのに、あんなの絶対痛いのに……それでも立ち向かう緑谷くんは凄いと思う。
轟くんは何度も氷結攻撃を緑谷くんにお見舞いする。しかし、その度に緑谷くんは指を使って打ち消した。あっという間に彼の右手は腫れ上がり痛々しい姿に成り果ててしまった。
緑谷くんのボロボロの手も、轟くんの冷たい眼差しも。見ているのが辛くて目を逸らしてしまいそうになるのを、唇を噛み締めて堪えた。
……ちゃんと最後まで応援するんだ。
轟くんは即座に緑谷くんに飛びかかり、近接攻撃を仕掛ける。ギリギリで躱した緑谷くんをさらに氷結で追撃したが、緑谷くんはすんでのところでそれを迎え撃った。しかし、その一撃で腕は無惨な姿に変わってしまった。
観客が轟くんの圧倒的な強さにざわめく。
そんな中、震える轟くんの右腕に、緑谷くんは気づいたようだった。