第5章 Fight
最後の関門は地雷原。
うっかり踏むと物凄い音と衝撃で爆発するらしい。怖すぎる。爆豪くんが何人も埋まってるみたいなものじゃないか。皆が戸惑い慎重に歩いている。
爆豪くん……そうだ!
私はジャージを脱いで腰に巻き、タンクトップもお腹の上までたくしあげる。下は脱げないから裾を膝まで捲り上げた。
露出した皮膚からもふもふと綿を膨らまして全身を覆うと羊風アーマーの完成だ。
爆豪くんが私のこと「羊」と呼ぶのを思い出して閃いたんだ。
視界は悪いしほぼ着ぐるみだしちょっと息苦しいけど……これで常に綿を出し続けて分厚くしていれば爆発の衝撃を防げるだろう。たぶん。
震える足に力を入れて思いっ切り走り出す。物凄い轟音が鳴り響き、衝撃で前へと吹き飛ばされた。
耳も覆ってるのに鼓膜が破れそう……!
体を打ちつけながら転がって、すぐに体勢を整える。身に纏った綿が爆発で吹き飛んでどこかに飛んでいったけれど、そんなのお構い無しだ。
走りながら次々に綿を生み出して柔らかな鎧を膨らまし、地雷目掛けて飛び込んでいく。
「クソ羊ィ!退けェ!!」
「っ……!?」
背後から地雷とは違う爆発が私を襲う。それによって近くの地雷が音を立てる。吹っ飛ばされて、落下した先でまた地雷が爆発して遠くへ弾かれた。痛い……目が回る。
綿の生成が追いつかなくて、纏った脆い鎧はもうほとんど残されていなかった。
いやだ、こんなところで負けたくない。
終わりたくない──!
ぎゅっと地面の砂を掴む。
がくがく震える足で立ち上がると、後ろから強い爆風が吹いてよろめく。上空を何かが横切った。
耳鳴りがする。弱い爆発音。爆豪くんの小さな怒鳴り声。
前に出した足は震えていて思うように進んでくれない。
それでも、進むんだ。走るんだ。
絶対まだやれる……!
ぐっ、と膝を曲げて走り出す。
ふらつくけど、それでもいい。
何度も吹っ飛ばされたおかげでゴールはもうすぐそこだ。
他の生徒達もどんどんゴールへ走り込んでいる。私もなけなしの力を振り絞って完走した。