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【ヒロアカ】Don't touch me.【轟】

第10章 Infatuate



「あの、私、轟く……焦凍くんと同じクラスの綿世です。よかったらこれ、ケーキ召し上がってください」
「ご丁寧にありがとう。ね、綿世さんって、もしかしてまりちゃん?」

唐突な質問に頷いて答えると、冬美さんは嬉しそうに私の手を取って顔を輝かせた。

「わあー大きくなったね!全然気づかなかった!まりちゃんがうんと小さい頃、公園でよく一緒に遊んだんだよー!」

お母さん達が仲良くてね、と付け加えて笑った。
うちの母が冬美さんと知り合いっていうのはそういう事だったのか。ほったらかしてた疑問が漸く解消された。

「じゃあ轟くんとも遊んだことあったのかな?」
「覚えてねぇ……」
「あははっ!そりゃ言葉もろくに話せないくらい小さかったもん!二人して猫じゃらし片手に踊ってたの、今でも覚えてるよ」

轟くんと顔を見合わせて気恥ずかしくなる。でも、踊ってる轟くん見たい……絶対可愛いやつだ。
思わず想像して口元が緩む。

「おっと、お勉強するんだよね!あっちの部屋使って。ケーキわざわざありがとう!三時くらいに部屋に持っていくね」

冬美さんはケーキの紙袋を持ち上げて微笑むと、軽い足取りでケーキをしまいに行った。

それから私は先に和室へ上がった。案内されるがままに座布団に腰を下ろすと、轟くんは温かいお茶をもってきて卓上に置いた。

まだ気持ちが勉強モードになってないな、と苦笑する。
新事実と恥ずかしエピソードが頭の中を巡って何だか落ち着かない。

持ってきたノートと教科書、問題集を広げて、お茶を一口頂いた。横に座る轟くんを見やるとぱちりと目が合う。

「やるか」
「うん。よろしくお願いします」

微笑んで軽く頭を下げると轟くんは穏やかな表情で頷いた。
こんな風に並んで勉強するのは初めてだ。教科書を捲り、付箋の貼ってあるページを開く。

轟くんの教え方は感覚的だけど、丁寧に根気強く教えてくれるから閃いてしまえばそこからは容易に理解できた。

問題集からいくつか似たような応用問題を出してもらい、それを教えて貰ったように解いてみる。
今まで悪戦苦闘していたのが嘘のようにすんなりクリア出来て凄く嬉しかった。

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