第10章 Infatuate
翌日。
時は昼休み。
今日のお昼はのんびり学食に向かっている。
いつもは直ぐに教室を飛び出すのだけど。
特訓のおかげか随分自信がついて、学食の混雑もいけるんじゃないかと思っている。
学食での心操くんとのやり取りが思い出されてひとり微笑んだ。
「綿世!学食?一緒に行こーぜ」
後ろから軽い調子の声がやって来た。上鳴くんだ。
上鳴くんは目線を合わせるように屈んで私に笑いかけた。
職場体験前に約束してたもんね。
頷いて笑い返したら続々と賑やかな声が響いた。
「おー綿世も一緒か!なんだかんだ初だな!」
「よかったな上鳴ー?」
切島くんと瀬呂くんもやって来て気づけば私は三人に囲まれるように歩いていた。
爆豪くんが私達を追い越して歩いて行ったから、ご一緒してもいいか怖々と声をかけて尋ねた。
「知るか」
「いいってよ!」
「よかねぇ!テメェらとつるんどるつもりはカスほどもねぇわ!」
ぶっきらぼうに言い放つ爆豪くんとそれを厭わない切島くん。
うん、今日も平常運転だ。
和やかに、時に怒鳴り声も混ざりながら、私達は学食へ向かった。
賑やかな食堂。
各々好きな物を注文してトレーを持って端の席に着く爆豪くんの周りに集まった。
私の両隣には上鳴くんと瀬呂くん。
前に座るのは爆豪くんと切島くんだ。
いただきます、と手を合わせてそれぞれ違う料理を口に運ぶ。勿論爆豪くんは先に辛そうなラーメンを食べ始めていた。
もぐもぐとご飯を食べながら前と左右に目をやると、普段女の子達と食事する光景と異なり、ちょっと物怖じした。
「なんか、保護された宇宙人の気持ちだ」
横も前も自分より大きい男子なもので何だか圧を感じる。