第10章 Infatuate
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ホームルームの時間。相澤先生が教壇に立つ。話は夏休みのこと、そして──。
「夏休み、林間合宿やるぞ」
「知ってたよーやったー!!」
合宿って言うくらいだしお遊びじゃないんだろうなぁ、とは思うけど、わいわい盛り上がるクラスのみんなにつられて私もわくわくしてきた。
そういう行事は中学では未経験だったし、何よりA組の皆と一緒に過ごすのだと思うと余計に胸が高まった。
「ただし」
ギンッと音がしそうなくらい強い眼力を向けた相澤先生に、騒々しい教室は瞬時に静かになった。
「その前の期末テストで合格点に満たなかった奴は……学校で補習地獄だ」
「みんな頑張ろーぜ!!」
補習地獄は絶対やだ……。
ひとりさみしく教室でお留守番なんて想像しただけで泣けてくる。切島くんの言葉に大きく頷いて拳を握った。
期末、落としてなるもんか──!
毎日予習復習はしているから、頭には入っているはず。後は範囲をまとめて不安なところを重点的に勉強するのみ。
心の中で炎を燃やして、数倍真剣に授業に臨んだ。