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【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第2章 架空の“彼氏”


身支度を整えて外に出る。
思っていたより日差しが眩しく空に対して溜息をつきたくなった。

必ず通らないといけないポアロの前を、足早で過ぎれば問題ないと思っていたのにその作戦は敢え無く失敗。
店の前を掃除していた零…こと、安室透によって。

「あ、おはようございます。○○さん」
「おはようございます、安室さん」

今日は厄日だな、と確信した。

「よかったらモーニング召し上がりませんか?」
「食べてきたので大丈夫です」

関わらないで欲しかった。
私も関わらないから。

「フラれちゃいましたね」
「は…?」

残念、と言いながら笑う彼と今日初めて目を合わせて。
あの時別れると言ったのは…
フラれたのは紛れもなく私だというのに。

「お昼、よかったらランチに来てください」
「お弁当あるので大丈夫です」
「自炊できるんですか」
「馬鹿にしてますか」

してませんよ、と笑顔で否定するその顔は私の好きな零だった。
顔を見てるだけで苦しくなる。
会いたくなかった。

「仕事があるので、もういいですか」

事情聴取から逃げるような言い訳に我ながら呆れた。

「そうですね、お邪魔してすみません」

毛利先生によろしくお願いします、と言われ頭を下げて事務所に向かう。
背中を見守る視線から逃げるように。

「おはようございます」
「おー、おはよう」

蘭さんやコナンくんは学校に行かれていて毛利先輩が新聞を広げてソファーに座っていた。

「何か気になるニュースありました?」
「いや、なにも。政治家の汚職がどうのとかそんな話ばっかだ」
「嫌になりますね」

パソコンを立ち上げて重要そうな類似ニュースを資料としてまとめていく。過去の参考資料を探すときに、これが思ったより役に立つ。
紙ベースの資料だけだと簡単に調べることができないという私の提案からそのようになった。
…私がいなくなったら、それも無くなるかな…

「毛利先輩、少しお話よろしいでしょうか」
「あー?」

間抜けな顔、と心の中で小さく笑ってしまった。


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