【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第94章 〝私〟について(その2)
行きたくない、行ってはいけない――そう思うのに、体が動いていた。
玄関に向かって――はっとしてすぐに引き返し、リビングの上に書き置きを残す。
安室さんと少し出掛けてきます、と。
それから、着ていた服のまま玄関を出て階段を降りると、――誰も、いない。
キョロキョロと見回すと、目の前に白い車が停まっていた。
「○○」
電子機器越しではない、久しぶりに聞いた声。
「……常識的に考えてありえない時間ですね」
「ははっ、俺たちらしいって言ったら今の○○は驚くか?」
「困ったことに驚きはないですね」
「○○らしいな」
少しドライブするか、と車を動かす安室さんにシートベルトを指摘され、締める。
探偵事務所の前で話混むには向いていないだろうから、場所を移すのはわかるんだけど一言くらい言ってほしいと不満を抱いてるはずの窓ガラスに映る私は、笑っていた。
「あの、率直に確認なのですが……安室さんが、零……降谷零、なんですよね?」
「ああ」
あっさりと認められた答えは、どこか拍子抜けだった。
誤魔化されたり、否定されたり……可能性としてはあると思っていたから。
「○○は、眠れなかったのか?」
「あ、……いえ、……」
言うべきか言葉に迷う。
言わなくてもいいはずなのに、知ってほしいと思ってしまうから。
「あー、世間話のつもりで。話しづらいなら言わなくていい」
「あ、そうじゃなくて……! あー、いや、そう、なのかな……」
泣いて、目が覚める。
それはこの状態になってからあることで、そして、一週間前からずっとほぼ毎日。
夢の内容は覚えていないのに、それが〝零〟のことだと分かってしまう。
そんなことを伝えたら、どう受け取るだろうか。
覚えていないのに、と思われないだろうか。
「……私、どうしてだか嫌われたくないんです」
「え?」
「貴方に、嫌われたくない。……軽蔑だってされたくない。安室さんに、……零にはって、どうしてだか思ってるんです」
きっとその理由は、今の私にはまだわからないけれど。
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