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【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第89章 もしも、出会わなかったら。









「零」




真っ白な世界。




ただただ、ひたすらに真っ白な世界。



「零、どこにいるの」



壁もない。

何もない。

ただ、ただ真っ白な場所だった。


つけていた無線を探しても、携帯電話もなくて。


手首についている腕時計だけが、唯一の連絡手段。


繋がる先は零ではないけど。


「はー……なにここ」


零のところに行かないとなのに。

行かないといけないのに。

あの人を、一人にしたくない。

もう、友人を何度も亡くした愛しいあの人のそばに。


「……なんでだっけ」


なんで、行かないといけないと思ってる。

なんで、そんなことを。





だって、私は





「零」



どこにいるの




「零」



繰り返し呼んでも応えはない。




何度も、何度も繰り返しその名前を呼んだ。



長い時間。
ずっと。



腕につけていた時計は止まっていて。



時間も何も変わらないその空間が怖くなって。










いつしか、繰り返し呼んでいた誰かの名前すら、分からなくなっていた。








呼べる名前が、








なくなった。


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