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【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第87章 裏切りの感情


 警察が到着し、現場に入る。
 会場の中では透さんたちが対応しているだろう。
 ロビーで座り、その対応が終わるまで控えている私たちは、言葉少なめにその終わりを待っていた。

 ──そして。

「えー…この東都ホールの建物内にいたスタッフの話をまとめると…死亡推定時刻の午後4時半から5時半の間に長時間姿が確認されていないのは…布施さんと円城さんの2人だけのようですね…」

 スタッフ全員をロビーに集め、簡単な事情聴取を終えて、一部の人がロビーに残っていた。
 そう。
 所謂、容疑者が。
 
「ちょっとちょっと待ってくださいよ!! 言ったでしょ? 私は今朝からおなかを壊し気味でここのトイレに籠っていただけだと…」
「わ、私もホール内を駆け回ってスタッフに指示を出してましたから…」

布施さんと円城さんがそれぞれ主張を訴える。
 
「波土のリハーサルを見学したいっていうこの人達の事をスタッフに伝えないといけませんでしたし…」

 そういうことは事前に共有していなかったのだろうか。
 ああ、でも服装やどういう人物かまでは事前に伝えることはできていなかったか。

「ちなみに、遺体の第一発見者は消防査察に来た消防官だそうです…」
「ああ、大きなイベント前に消防設備を点検するっていうアレか」

 高木刑事と目暮警部が話している内容は、こちらにも聞こえてくる。
 第一発見者を疑うことができないということは、捜査のやり方も変えないといけないもんね。
 ……なんだか少し懐かしい気持ちになる。

「怪しいのなら彼だってどうじゃないか!? スタッフジャンパーと金で買ってここに潜り込んだあの雑誌記者ですよ!!」

 あの、と指をさすその先にいるのは、梶谷。

「おいっ、離せよ!! 波土が殺されたんだろ!? 写真ぐらい撮らせろよ!!」

 警察のいる現場で死体のあったその会場の写真を無断で撮ろうとしたのだろう。警察に背後から肩を固められている姿から容易に想像がついた。
 当初外に追い出されたこともあって、事情聴取を終えていなかったのだろう。
 皆を前に、事件時刻に何をしていたのか確認が始まって。


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