【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第6章 “透さん”
下着以外の服を取り払い、肌が重なる。
抱きしめ合う温もりが直接触れると心が落ち着く。
キスを交わして手を繋ぐ。
安心する気持ち。
「……こうしてるの気持ちぃ…」
「このまま抱くけど、いいですよね」
「だめ」
舌で唇を舐められて、これから、という時に止められる安室さんの顔。
正直、可愛い。
「…ご飯食べた?」
「まだですが」
「最近ちゃんと寝てた?」
「最低時間は眠れてます………まさかこのままお預けってことはありませんよね」
無理です、と首筋を舐められて。
待って待って、と胸板を押すように軽く抵抗すれば抵抗する手首を頭上でまとめられて。
「っ…だめだって…!ご飯食べてお風呂入ってちゃんと…疲れをとらなきゃっ」
「適度な運動も必要です」
「貴方運動しっかりしてるでしょうが!」
体つきを見れば誰だってわかる。
体を捩り、安室さんの視線から逃れようともがく。
「…○○、抱きたい」
低く甘い声。
…この声に囁かれて誘われると動けなくなりそうなほど、甘い。
「今はだめ…!」
涙目で睨みつけたら仕方ない、と手首を解放された。
「○○」
好きです、と口づけて抱きしめあう。
正直私は、この瞬間が一番好きかもしれない。
抱かれるのも好きだけど…
「…透、と呼んでもらえませんか」
「ん?」
とおる。
心の中で読んでみるその名前に対して
「透、…さん」
気恥ずかしさが勝ってしまう。
零、と呼んでいたのは付き合う前からだから呼びやすい部分もあったから。
「…はい」
「透さん…すきです」
多分、私は“零”と“安室さん”に対してのそれぞれの壁が少しだけ異なる。
どちらも好きだけど、安室さんにはまだ壁を作っていて。…違うか。
安室さんに甘えることを知ってしまえば、私はポアロで繕えなくなる。
それの延長線で本人にもつい冷たく接してしまう部分があって。
「透さんほどおいしいものは作れないですけど用意しておくので、お風呂に入ってください」
「わかりました」
「…着替え、今度買っておきますね」
「はい、お願いします」
代わりに、とシンプルな濃紺のバスローブを渡した。
「無いよりましかなって思って」
「ありがとうございます」
甘えるようにまたキスをして、安室さんは浴室に入っていく。
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