【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第26章 接触
「はい、毛利探偵事務所です」
『貴女がバーボンの彼女?』
…初めて聞く声だった。
声からして、綺麗な人だなと勝手に印象を抱いてしまうくらい綺麗な声で。
「………こちら毛利探偵事務所ですが、おかけ間違いでしょうか?」
『貴女と話がしたいわ。今夜19時、東都ホテルの0921号室に来れるかしら』
「…………おっしゃってる意味が、わかりかねます」
『来ないなら良いわ。…貴女が、彼と愛しあえるのが残り少なくなるだけだから』
「おかけ間違いのようなので、こちらから切らせていただきますね」
失礼しました、と電話を切って。
先輩がどうかしたか?ときいてきて。
間違いのようです、と笑って誤魔化した。
バーボン
それが零が名乗るもう一つの零の顔。
…頼る相手は、あの人しか思い浮かばなくて。
沖矢昴に、メールをいれた。
『事務所に連絡が入った…助けてほしいです』
情けない私に、沖矢昴は詳細を教えるよう…返信があった。
16時。
先輩が自宅に帰って私も事務所を去った。
ポアロから見える安室透に、…助けてほしいとは最後まで言えなかった。
「お疲れ様です」
「………助けて」
零の邪魔になりたくない。
私は、それだけだった。
沖矢昴は、工藤新一邸に帰り…
私にそれが“ベルモット”と呼ばれるコードネームの人物だと言った。
なんでこの人がそこまで知ってるのか、追求したくなんてなくて。
「このままだと貴女が死ぬでしょうね」
冷たく笑われて
「…どうして」
「貴女が、バーボンの恋人なら組織には利益をもたらしますから」
そして安室透も死ぬでしょうね、といつもの声で微笑みで。
「ベルモットに会ってください。…そして、彼女の言う通りに動いてください」
「…嫌だと、言ったら?」
「安室透はこの世からいなくなります。…もちろん、貴女とは今日限りでしょうね」
この人は一体何者で。
この人は…私にどうしてほしいのか。
「……助けてください」
「それは、FBIの協力者になるという意味でよろしいですか?」
何も、よろしくなんてない。
ヒロくんを殺した赤井秀一と関わったら……零は、どう思う?
それでも
「…それが最善ですよね」
「貴女が安室透ではなく、私に助けを求めたのが答えです」
そう
それが、答えだった。
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