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鈍色【ONE PIECE】

第3章 融解


案内された場所は、大きめのテーブルや椅子、カウンターが揃った広い空間で、食道のようだった。
寛いでいたクルーたちが一斉にこちらを見て、様子を伺いながら何やら話をしている。

「動けるようになったみてェだな、xxxx。」
隅のカウンターにローが腰かけていた。
テーブルに座るよう促され席につくと、先ほどの白熊がコーヒーと軽食を出してくれた。
「ありがとう、世話になる。あと新聞をくれないか?」

白熊に言ったつもりだったが、はい俺が!いや俺が!どうぞ!と競うように、クルーたちがすごい勢いで新聞の束を置いてくれた。
お礼を伝えると、皆顔を真っ赤にしてわいわいと去っていった。
船長の性格からは想像もつかない、賑やかな船内のようだ。


新聞は、正しい情報を得る唯一の手段だ。
黙々と目を通し、ルフィの無事と2Yの意味を知り、ローの言葉通りの状況で辻褄が合うことを確認できた。
レイリーたちと一緒なら、まず大丈夫だろう。
私をそのままローに預けたのは、継続して治療が必要だったからと、今はルフィと一緒にいない方が良いと判断したためだと思う。
自分でそう思っておきながら、少し胸が痛んだ。
久しぶりに喉を通るコーヒーは、苦かった。


新聞を読み終えたころ、クルーたちがおそるおそる話しかけてきた。
「あのっ…xxxxさん!何か困ってることはないですか?」「食事お口に合いますか?おかわりもあります!」
「おい、こいつは病み上がりなんだ。あまり騒ぐな。」
「すいません、つい…」「でもキャプテン!俺たちの船にあのxxxxがいるなんて奇跡ですよ!」「あの劇場船の看板女優!」
「こいつは龍騎士だ。先の頂上戦争でお前たちも見ただろう。」
「そのギャップが最高!」「麦わらには悪いけどこのままいてもらいましょうよ!ね!」


つい数週間前戦場の最中にいたとは思えない、賑やかな船内とあたたかい食事。

私の身体には、目覚めてからずっと抱えていた不安が、氷柱のように突き刺さっていた。
氷柱が融解しても、自分を責める苦痛からは解放されない。

しかし、今は、平和な日常の中にいる。
それだけで、幾分か救われた気がした。

「ふふっ、お前の船はずいぶんと賑やかなんだな。」
「お前に言われたくねェな。」


再びコーヒーに口をつけると、あたたかく、心地良い香りがすることに気が付いた。
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