第9章 召請
手当てを受けながら、スモーカーとのことを一通り話した。
傷はかすり傷程度で、心配していた右腕も、少し捻った程度だったようだ。
「安心しろ、お前たちのことは話していない。」
「あぁ。お前の言う通り、特に心配することはねェだろう。」
手首と首にはスモーカーの手で掴まれた痕がくっきりと残っていて、それを見た時のローはとても不機嫌な顔をしていた。
これくらいの痕ならすぐに消える、と言っても、表情が和らぐことはなかった。
麦わら屋のためにか。
昨日言われた言葉が、また聞こえた気がした。
スモーカーはルフィを探していた。
そのせいで私が傷つけられたことを、許せないとでもいうのか。
仲間でもないお前が、なぜ。何のために。
私の本能が、これ以上ここにいてはいけないと告げている。
「お前たちに迷惑はかけない。私がここから離れれば、海軍の足もつかなくなる。」
「…なんだと?」
語調は静かだったが、ローは訝しげな顔で返した。
私は上着にしまわれていた令状を取り出すと、封のマークが見えるようにローへ差し出した。
「今朝届いたものだ。」
予想より少し遅かったがな、と付け加える。
ローは眉間に皺を寄せて、黙ってそれを受け取った。
私はベッドから立ち上がると扉の方へ歩み出し、ローを背にして言った。
「私は、王下七武海への召致を受けることにした。」