第6章 傷痕
「えっ面白い!?」「キャプテンが??ギャグとか言うんですか??」「意外な一面だなぁ…」
皆思わぬ返答に困惑しているようで、言葉が足りなかったと気付いた。
もちろん、腹の底を探り合うような皮肉の言い合いが面白い、という意味だ。
「面白いって…じゃあxxxxさんはキャプテンのこと好きってことですか!?」「えっもうそういう関係とか…!?」「おいストレートすぎるだろ!」
船長はあんなに寡黙なのに、クルーたちは噂話がお好きなようだ。
おかしくて、少し口元を緩めた。
「好きな者など、いないさ。ローだって、私のような女は苦手だろうよ。」
「そんなことないですよ!!!」「だってキャプテン、xxxxさんには優しいじゃないですか!!」
優しい、そうだろうか。
「あと、xxxxさんみたいにクールで知的な美女って、どんな男がタイプなのかなぁって話してたんです!」
好きなタイプも、いやという程投げかけられた質問だ。
「そうだな、強い男は好きだ。」
「えっ!じゃあ」
「私より、な。」
「…!」
クルーたちは呆然としている。
赤犬と対等に渡り合った私より、強い男などそういない。
死の外科医と龍騎士、どちらが強いだろうか。
私はコーヒーを飲み終えると席を立ち、付け加える。
「でも、頭のいい男は嫌いじゃない。」